雨漏り、シロアリ…中古住宅の「隠れたリスク」がデメリット?富士市のプロが教える性能向上リノベーションの注意点
こんにちは、富士市のアスカ工務店、遠藤です。
前回は「性能向上リノベーション」の大きなメリットについてお話ししました。

(※前回の記事はこちら:[続編] なぜ今「性能向上リノベーション」なのか?)
今回はその続きとして、皆さんが最も気になるであろう「デメリット」や「注意点」について、正直にお話ししようと思います。
デメリット1:設備の老朽化(ただし交換が前提)
まず目に見えるデメリットとして、中古住宅は「設備が古い」ことが挙げられます。
お風呂やキッチン、トイレなどが、建てられた当時のままというケースも多いです。
「建てられてから数年しか経っておらず、まだ使えそう」という場合は別ですが、築10年以上経過している物件であれば、私たちは設備の全交換を強くお勧めします。
なぜなら、住宅設備の保証期間は長くても5年~10年程度。10年以上使われていれば、見えない部分で劣化が進んでいる可能性が高いからです。
せっかく性能向上リノベーションをするのであれば、このタイミングで最新の設備に入れ替えた方が、後々のトラブルを防げます。
これは「デメリット」というより、「あらかじめ想定しておくべき交換費用」と言った方が正確かもしれません。
デメリット2:【隠れたリスク】建物の劣化・腐食(雨漏り)

ここからが、私たちが特に注意している「本質的なデメリット」です。
それは、表面からは見えない「建物本体の劣化」です。
その最大の原因は「雨漏り」です。
もし、過去に屋根や外壁から雨漏りが発生していた場合、たった一回の侵入では少量でも、それが何年も繰り返されていれば、内部は大変なことになっています。
雨水が壁の中や屋根裏に侵入し、家の構造体である柱や梁を腐らせてしまうのです。

▼実際にあった事例
以前、あるオーナー様から雨漏り調査のご依頼を受け、検査をしたことがあります。
一見すると普通の壁でしたが、内部を調べると、壁一枚がまるごと雨漏りによって腐食・劣化していました。結局、その壁の仕上げ材をすべて剥がし、構造から修理し直す大掛かりな工事になりました。

このように、表面上は問題なくても、内部で深刻な劣化が進んでいるケースは少なくありません。
デメリット3:【隠れたリスク】シロアリによる被害
雨漏りと同じくらい怖いのが「シロアリによる被害(蟻害)」です。
これも、床下や壁の中など、普段生活していても目に見えない場所で進行していることが多いため、発見が遅れがちです。
▼実際にあった事例

以前、不動産屋さんからの依頼で中古住宅の検査を行った際、お風呂場の床下でシロアリの巣を発見しました。
床下を支える「土台」という重要な木材が、一部シロアリに食べられてスカスカの状態になっていました。
【重要】これらのデメリットは「解決可能」です
「雨漏りによる腐食」「シロアリ被害」…
こんな話を聞くと、「やっぱり中古住宅は怖い」と思われてしまうかもしれません。
しかし、ここからが重要なポイントです。
これらのデメリット(=隠れたリスク)は、性能向上リノベーションで解決できます。
むしろ、中途半端なリフォームと違い、性能向上リノベーションは「家をスケルトン(骨組み)状態」に近いところまで解体してから工事を行います。

私自身、工事のために家を解体している途中で、深刻な腐食や劣化を見つけた経験が何度もあります。
しかし、解体してしまえば**家の構造がすべて見える状態(丸裸)**になります。
- どこがどれだけ傷んでいるのか?
- どこを交換し、どこを補強すべきか?
これらが正確に把握できるため、**むしろ修理工事は「やりやすい」**のです。
隠れたリスクを根本から断ち切れることこそ、性能向上リノベーションの強みとも言えます。
本当のデメリットは「追加の補修費用」
では、本当のデメリットは何か?
それは、「想定外の劣化が見つかった場合の、追加の補修費用がかかること」です。
「解体してみたら、思ったより柱の腐食が広範囲だった」
「シロアリの被害が土台だけでなく柱まで及んでいた」
このような場合、当初の見積もりにはなかった補修工事が必要になります。
これが、性能向上リノベーションにおける最大のリスクであり、金銭的なデメリットと言えるでしょう。
だからこそ「事前のプロによる診断」が命です
では、そのリスクをどう回避すればいいのか?
答えは、**「契約前(あるいは購入前)に、プロによる徹底的な調査を行うこと」**です。
前回も少し書きましたが、中古住宅には「家が傾いていないか?」といった心配もあります。
これらの不安を解消するために、私たち専門家は「既存住宅状況調査(インスペクション)」を行います。
床下や屋根裏に潜り、専門の機材を使って、雨漏りの形跡、シロアリの被害、基礎の状態、建物の傾きなどを徹底的にチェックします。
私(遠藤)もこの「既存住宅状況調査技術者」の資格を保有しています。
プロの目で事前にリスクを洗い出すことで、「追加費用がいくらくらいかかりそうか」を高い精度で予測し、資金計画に織り込むことが可能になります。
次回予告
今回はデメリット(リスク)と、その対策(調査)についてお話ししました。
「じゃあ、実際に性能向上リノベーションで家づくりを進めたい場合、何から始めたらいいの?」
という疑問が湧いてくるかと思います。
次回は、「性能向上リノベーションの進め方」について、具体的なステップ(物件探し? 相談?)をお話ししようと思います。
富士市・富士宮市で中古住宅の購入やリノベーションにご不安がある方は、家を買ってしまう前に、ぜひ一度アスカ工務店へご相談ください。