中古住宅をしっかり調査、耐震診断、耐震工事をして、安心安全な家にできるかどうかです。
こんにちはアスカ工務店 遠藤です。
先日、ブログでも書きましたが、阪神・淡路大震災が、起きてから30年
経ちました。
自分は、実際あの地震の直接の被害にあったわけでもなかったですが、
ブログにも書きましたが、あの日のテレビやネットのニュースの空気感や
交通の流れなどを体験し、これは大変な事だったと痛感しました。
大きな地震被害などが起きると住宅の耐震性が話題になります。
当社は、お客様が中古住宅を買って性能向上リノベーションなどの提案や
工事をしますが、既存住宅の中古住宅の耐震性と断熱性は、
特に気にしてもらいます。
ただ、実際、中古住宅の耐震性は、一応1981年以降の新耐震基準など
基準にしていますが、お客様が、住みたい地域に、そのような中古住宅が
あるかは分かりませんし、じゃあ、基準以外の中古住宅は選ばないほうが
いいかとも言えません。
要は、その中古住宅をしっかり調査(インスペクション)して、状況を把握し
しっかり、耐震診断、耐震工事をして、安心安全な家にできるかどうかです。
(上記の写真は自分が2014年、長野神城断層地震の視察の際撮った写真です。)
話は戻りますが、住宅購入の場合、中古住宅検討時には耐震性は重要な
検討材料の一つです。
一般に流通している物件でなぜ耐震性を気にしなければならないのか疑問に思う方も
いるかも知れません。
耐震性に問題のある物件を取引してはならないという法律はありません。
不動産取引において、住宅の耐震性について何らかの法律の制限があると
お考えの方は多いです。
しかし中古住宅の場合、不動産売買契約における重要事項説明書の中に、
耐震診断書の有無をチェックする欄があり、有の場合にはその内容を説明
しなければならない、とだけが規定されていて、例えば取引にあたって
耐震診断を実施しなければならない、といった法律の制限はありません。
つまり言い換えると、住宅の耐震性は買主側の責任で対策を
講じなければならないということになります。
これが新築の場合は異なります。
新築は建築した事業者が10年間保証をしなければならないという法律になっていて、
あくまで建築基準法の範囲内ですが、建物に瑕疵がある場合は、
建築した事業者の責任が問われます。
言い換えると、新築の場合は、耐震性が確保された住宅しか流通していない
(但し欠陥住宅は除く)と言うことになります。
(上記の写真は自分が能登半島地震の視察時に、撮った写真です)
建築基準法を過信しない。
日本では住宅の建築に当たって建築基準法の制限を受けます。
建築基準法には耐震性に関する項目も存在することから、
建築基準法をクリアした住宅なら一定の耐震性能を確保していると
判断されます。
ここで多くの方が誤解しているのが、建築基準法は最低基準でしかない、
ということです。
住宅性能表示制度における耐震等級がわかりやすいので例にしますが、
耐震等級は1~3までランクがあって、数字が大きければ大きいほど
高い性能を有していることとなります。
耐震等級1が建築基準法と同等と位置付けられます。
耐震等級2は建築基準法レベルの1.25倍、耐震等級3は1.5倍と位置付けられています。
耐震等級3の住宅なら安心だ、という表現はおかしくないのですが、
「この家は建築基準法をクリアしているから安心だ」というのは少しおかしな判断と言えます。
この建築基準法は最低基準でしかないという考え方は非常に重要なのでぜひ正しくご認識ください。
もう一点、建築基準法について注意があります。
建築基準法は改正を繰り返している、ということです。
耐震については、大きな地震被害が発生するたびに改正されています。
住宅を建築する際には建築基準法に定める通り設計・建築されているかを
確認するプロセスがありますが、建築基準法改正前の基準をクリアしていても、
改正後では基準を満たさないことはよくあります。
従って中古住宅を購入する際のチェックポイントは、いつ建てられた住宅なのか?ということになります。
最も影響が大きなタイミングは1981年6月の改正です。
建物の強さに直結する壁の強さに関する規定が改正され、その影響も大きなことから、
1981年5月以前の建物を「旧耐震」と呼び、既存不適格住宅と位置付け、
耐震の対策が必要な住宅という認識となっています。
1981年6月以降の「新耐震」なら大丈夫かというとそうでもなく、
阪神淡路大震災の教訓を受け、2000年6月に建築基準法が改正されており、
新耐震であっても2000年5月までの建物は耐震診断や改修工事を行った方が良いとされています。
建築年月は不動産広告でも目立つ位置に記載されていますが、
築年数から建物の古さをイメージするのが目的ではなく、
どのタイミングの建築基準なのかを判断する重要な情報と言えます。
自己責任に陥らないために。
新築のように耐震性を確保しなければ取引できない仕組みであれば良いのですが、
残念ながら中古住宅取引にはそのような制限はありません。
中古住宅売買で「耐震性が重要です」というような情報が多いのは、
結局のところ買主の自己責任になってしまうからです。
とは言え住宅購入時にはいろんなことを同時に検討しなければならないため、
耐震性ばかり注目する訳にはいきません。
そこでお勧めなのが中古住宅を安心して購入するために国が用意した制度を利用することです。
国の制度を利用するには多くの場合建築士に頼まなくてはならないので、
耐震性が軽視されるという結果を避ける可能性が高くなります。
住宅の耐震性は、中古住宅の購入時には欠かせない重要な検討材料です。
買主の自己責任で判断するのは荷が重いので、建築のプロである建築士に
相談するのがお勧めです。
当社も既存住宅状況調査が出来、その後の耐震診断も出来ますので
ご依頼ください。